寿司のネタとしては最高級のサヨリ。

でも実は素人が扱うにはちょっと注意が必要のようです。

サヨリの特徴と生態

サヨリはダツ目サヨリ科に分類される海産魚。沿岸の海面近くに生息する細長い魚です。

沿岸性で樺太の西側から台湾にかけての北西太平洋、日本かい、公開、渤海湾の陸地近海に分布しています。

 

全長は最大で40㎝程。同じダツ目のサンマとよく似た細長い体型をしていますが、サヨリ科の一般的特徴として下顎が長く突き出して上顎は小さな三角形の弁状になっています。

とてもアンバランスに見える口ですが、その理由というはあまりはっきりしてないのだとか。

 

下顎の先端は生きている時には赤く、背中は青緑色ですが、腹側は銀色に輝いていて筋肉は半透明です。

腹膜は真っ黒で、属に「見かけによらず腹黒い人」の代名詞とされることもありますが、これは筋肉が半透明で光を透過しやすい魚によく見られる現象で、腹腔内に光が透過するのを防ぐためと考えられています。

 

腹膜が黒いコイ科の淡水魚、ハクレンでは成長に伴って食物が動物プランクトンから植物プランクトンに移行する時期に急速に腹膜が黒変することが知られています。

この移行時期に強い日光を浴びると消化管に取り込まれた植物プランクトンが光合成を行って酸素の気泡が発生し、消化管が膨れ上がって水面に腹を上にして浮かぶなどの障害が発生することが報告されているので、サヨリの腹膜も同じように光合成を抑制する為に黒いのではないかと考えられています。

 

海面すれすれを群れをなして泳ぎ、動物プランクトンを捕食したり、浮遊する海藻の断片を摂食します。

危機を感じると空中にジャンプする習性もあり、汽水域まで侵入することもあります。

 

4月中旬~8月中旬が産卵期で、群れで藻場に入り込み、メダカの卵に似た直径2.2㎜程度の大粒の卵を粘着糸で海藻や海草に絡みつけます。

孵化直後の仔魚の体長は7㎜程度で、2.5㎝程度まで大きくなるころには下あごの伸長が始まります。27㎝くらいになることにはほぼ成魚と同じ形になり、寿命は2年程です。

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サヨリの利用

サヨリは春から秋にかけて漁獲されます。

旬の時期は3~5月で、刺身や寿司だね、椀だね、天ぷら、塩焼き、干物などに料理されます。白身の高級魚として扱われ、刺身など非加熱で調理する時はたて塩にすると持ち味の甘みが引き立つと言われています。

 

釣りの魚としても好まれていて、関東では一般的なウキ釣やフカセ釣り、関西ではシモリや連タマと呼ばれるウキが3~10個連なった仕掛けが良く用いられます。

海から川へ遡上する頃もあり、竹竿に釣り糸を張り、弓状にして糸を川に沈めて水面を遡上するサヨリを引っ掛けて釣ることもあります。

サヨリの寄生虫

サヨリの鰓にはかなりの高確率でサヨリヤドリムシという寄生虫が寄生していることが知られています。

サヨリヤドリムシはエラヌシ属に分類され、急流を避けて泳ぐサヨリの幼魚が内湾や漁港内などで泳ぐ間に、口から入ってエラに棲みつき、サヨリの成長と共にサヨリの体液を吸って自らも大きく生長し、サヨリが死んだ時にその体から離れていきます。

 

誤ってサヨリヤドリムシを食べてしまったとしても人間に寄生したり、何か害を及ぼす類の寄生虫ではないですし、油で揚げるとエビのような味がして美味しいと言っている人もいるほどなのですが、釣り上げたサヨリを食べる時には一度エラの中をチェックしてみてください。

 

かなりの高い確率でサヨリヤドリムシを発見できると思います。

好奇心と勇気のある人はぜひそのまま調理して一緒に。

そうでない人は取り除いてから調理するようにしましょう。

(ライター ナオ)

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