ヤママユガという名前の蛾を知っている人はきっと少なくないでしょう。

そう、日本で昔から高級な絹糸を生成する為に飼育されていた蛾の一種。

日本人にはかなり馴染みのある蛾です。

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ヤママユガの特徴と生態

ヤママユガはチョウ目ヤママユガ科に分類され、日本では北海道から九州までの広い範囲で落葉性雑木林などに生息しています。

成虫は口が完全に退化していて、蛹化以降は一切の餌を摂らず、幼虫時に蓄えた栄養だけで生きるのが特徴です。

前翅長は70~85㎜で分厚く大きく、4枚の翅にはそれぞれ1つずつ大きな黄茶色で眼玉状の模様が入ります。

幼虫はブナ科のナラ、クヌギ、コナラ、クリ、カシ、カシワ、ミズナラなどの葉を食べ、年1回の発生で出現期は8~9月頃。冬は卵の状態で越冬します。

 

4回の脱皮の後に蚕になり、鮮やかな緑色の繭を作ります。

一粒の繭から得られる糸の長さは約600~700mで、1000粒ほどで300g程度の絹糸が採取されることになり、この糸は天蚕糸と呼ばれる天然の繊維となります。

天蚕糸の歴史

天蚕糸は絹に比べて軽くて柔らかいのが特徴です。

糸の中に空気が入っているので保温性が高く、染料を吸着しにくいために濃く染まらない性質を利用して家蚕糸と混織して亜遠目することで濃淡をつけることも行われています。

天蚕糸が史書に最初に登場するのは1828年。

 

明治時代以降は皇居の紅葉山御養蚕所で歴代工合が天蚕を育てることが伝統になっています。

長野県安曇野市穂高有明では1780年代から天蚕飼育が始められていたと言われ、1800年代になると、農家の副業として飼育されることが多くなりました。

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明治30年頃は天蚕の全盛期で、山梨県、北関東などの県外へ出張して天蚕飼育を行い、この頃には安曇野市の反芻の農家が天蚕を飼育していたのだそうです。

第二次世界大戦後は出荷も途絶え、幻の糸となってしまっていますが、1973年に再び復活の機運が高まり、天蚕飼育が再開されました。

天蚕糸の飼育

天蚕は家蚕のように桑の木を育てる手間はいりません。

飼育場所には日当たりが良く、水はけのよい、消毒された場所が最適で、病害虫に弱い天蚕は最新の注意を払って飼育されています。

 

山飼いと桶飼いの2つの方法があり、山飼いは植栽した樹園を作って飼育するもので、桶飼いは水を入れた容器に小枝を差して飼育する方法です。

桶飼いの方が繭層が厚く、良い眉が出来ると言われています。

ヤママユガの幼虫

さて、すっかり話が天蚕糸になってしまいましたが、ようやく本題に入ります。

天蚕糸の原料となる繭を作るヤママユガの幼虫は毒を持っているでしょうか。

 

古くから飼育され、日本文化の一端を担ってきたヤママユガの幼虫ですから、それほど強い毒を持っていたとは考えにくい・・・・・。

ただし、見た目は体色が鮮やかなグリーンで、体節からは毛の束が出ていて、いかにも毒がありそう・・・・。

 

さて、一体どっち?

正解は、毒はありません。

 

ヤマ、マユガは成虫も幼虫も毒を持ってはいません。

人間には全くの無害なのです。

 

ちなみに他のヤママユガ科の蛾や幼虫に関しても毒を持っているものはおらず、人間にとってはなんとも優しい存在の蛾といえます。

現在でも絹糸をとる目的ではなく、単なる趣味としてヤママユガの幼虫を飼育している人は沢山いるようです。

 

飼育は、幼虫を見つけた場所の葉を枝ごと頂戴してきて、瓶などの水にさして飼育ケースに入れておき、食草の葉の部分が少なくなってきたら新たなものと交換します。

特に終齢幼虫の食欲は旺盛で、あっという間に葉がなくなってしまうこともあるので、注意しながら葉を取り替えます。

興味のある方はぜひ、チャレンジしてみて下さい。

(ライター ナオ)

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