植物を育てたことのある方は見たことがない人はいないというほど一般的なアブラムシ。

集団の小さな虫ですが、実はアブラムシに羽がついていることがあるってご存知でしたか?

今回はアブラムシの生態と羽についてお話しします。

アブラムシの種類と特徴

アブラムシには多くの種類が存在し、その数は世界で3000種以上、日本でも700種類以上が存在すると言われています。

日本でも古くから知られる有名な害虫で、その生態は複雑なものも多く、未知なことも多いのが実情です。

 

しかし、現在知られているところによると、アブラムシは普段はメスだけで大きなコロニーをつくり、増えますが、エサを食べつくすと羽のある種類を産んで他の場所へ移動していくのだそう。

 

つまり、メスが環境に応じて羽のあるなしを産み分けしている—-これは、ホルモンの影響が関係しているともいわれていて、集団が多くなってエサが少なくなってくるとメスから出るホルモンが変化し、羽のある種類が生まれるのではないかと考えられています。

 

つまり、同じアブラムシでも羽をもつ個体と羽を持たない個体が存在するということ。

羽のある個体は、ない個体と同じアブラムシとは思えないほど体型も変わってしまうので、アブラムシの種類を同定するのは難しいと言われています。

羽をもったアブラムシ

羽を持ったアブラムシは、飛翔して自分好みの植物を探すと考えられています。

それは、時に種類によって決まった植物のこともあるのですが、特に決まっておらず、一度植物の汁を吸って気に入らなかったら、また次に移るという自由奔放な行動も確認されているのだとか・・・・。

 

また、一説にはアブラムシの好む色があり、色によって着地する植物を決めているともいわれ、その場合最も好むのが鮮やかな黄色、次いで黄緑色やオレンジ色と言われています。逆に、全く着地しないのは白色。

トマトなどの花は黄色、ウリ科の植物は黄緑色で、丁度この説にあてはまりっているとういわけ。

羽をもったアブラムシの危険性

アブラムシは植物にとっては液を吸汁される厄介な存在。寄生されると生長の勢いは弱まり、植物が元気をなくすということは抵抗力も衰えるので枯れやすくなります。

アブラムシが柔らかい葉に群がり、吸引すると葉が縮小したり、巻いたりして吸引した場所だけが白く変色したり、凸凹したりします。

 

しかし、羽をもったアブラムシはもっと厄介です。

それは、ウィルス病を媒介する可能性があるということ。

植物が感染するウィルスは約600種類ほどと言われています。そのうちの半分が昆虫によって媒介されているのですが、この昆虫の半数以上がアブラムシ類なのです。

 

先ほど羽をもったアブラムシの自由奔放ぶりについては少し書きましたが、好みの植物を見つけるために飛び回り、そのたびに植物に口針を刺して汁を吸引し、味見をするということを繰り返しているうちに、ウィルスを媒介してしまっているというわけ。

アブラムシの飛来対策

羽のあるアブラムシの飛来を防ぐには、キラキラした銀色のテープなどを食物の周りに張り巡らせるのが効果的。

アブラムシは銀色を嫌い、空中からは近づかない傾向にあるようで、農家などではこれを利用してアブラムシ対策をしています。

 

テープの他にマルチなども販売されていますが、少々値段が張ることが難点です。

また、他にも天敵であるてんとう虫を多く放すことや、アブラムシの好む黄色を利用して洗剤や農薬を混ぜたものを黄色く色づけて容器にいれ、おびき寄せるということも効果があるようです。しかし、この場合は近くに黄色い花をつける植物がある場合は逆に誘引することになってしまうので注意が必要になります。

(ライター ナオ)