さつまいもの害虫、エビガラスズメをご存知でしょうか?

今回はエビガラスズメについてのお話です。

エビガラスズメの生態

エビガラスズメは鱗翅目スズメガ科に分類される大型のスズメガの1種です。

日本全土に分布していて、日本以外では東南アジア、アフリカ、ヨーロッパに分布します。

 

太い腹部の両端に紅色の部分があり、焼いたエビの胴体を思わせることから、この名前が付きました。

前翅の開帳幅は80~106㎜、前翅は灰色で黒褐色の不定紋があり、成虫の発生時期は5~7月と8~10月の2回ですが、西南暖地では年3回発生するところもあります。

成虫の体はずんぐりとしており、前翅は三角形状なのが特徴的です。

 

これは、スズメガ科の成虫全体に言えることで、この翅の形状のためか、飛ぶスピードも非常に速く、また、空中でホバリングしながら蜜を吸う習性もあるのでハチドリと間違われることもしばしば。

 

メスは1回の産卵で400~700粒の卵を産み、25℃条件では卵4日、幼虫21日、蛹18日程度を必要とします。

エビガラスズメの幼虫はヒルガオ科、なす科、まめ科の植物の葉を食害します。

 

老齢幼虫は5~10㎝くらいの大きさになり、角のような尻が目立ちます。

体全体は基本的には黄緑色ですが、褐色、中間色のものもいて、3型に分かれます。

 

脚の付け根には赤い斑点が並び、老齢幼虫は葉柄だけを残し、短期間で大量に葉を食害します。

成熟した幼虫は土中に潜り、蛹で越冬します。

スズメガ科の蛾

スズメガ科の蛾は熱帯地域を中心に1450種ほどが存在していると言われています。

成虫、幼虫共に比較的大型で、成虫の4枚の翅は体に対しては小さく、三角形になっています。

高速で飛行し、幼虫は尾角と呼ばれる突起を持っています。

スズメガ科の卵は2~3㎜ほど。扁平な球状で小さく淡い見え檻色のものが多い。

 

通常産卵数は数百個だが、卵塊を形成せずに飛翔しつつ1粒ずつばらばらに食草に産み付けられます。

多くの場合、卵は数週間で孵化します。

日本にも多くの種類が分布しており、その中のいくつかの蛾を紹介します。

オオスカシバ

オオスカシバガは本州以南に分布し、日本以外でもインド、スリランカ、東南アジア、中国まで広く分布しています。

翅が透明な蛾で夏の日中によく活動します。

 

成虫の前翅長は3㎝程、体の背中側は黄緑色で、腹側は白いのが特徴。

腹部の中程に赤い横帯模様があり、その前後に黒い帯模様が入り、腹部先端の左右には黒い毛の束があります。

 

和名の通り翅は透明で鱗粉がなく、黒い翅脈が走るのが大きな特徴。

羽化した直後は灰白色の鱗粉が翅を覆っていますが、羽ばたくと鱗粉がすぐはに脱落して透明な翅になってしまいます。

ベニスズメ

ベニスズメは名前の通り全身がピンクがかった紅色をしたスズメガです。

イギリス、アイルランド、ヨーロッパ、ロシア、中国、日本、韓国、インド北部に分布し、成虫は5~7月に見られます。

 

頭はヘビの顔のような眼状紋という模様があり、鳥などの天敵を驚かす効果があます。

幼虫の食草はオオマツヨイグサやホウセンカなど。

成虫は夕方に多く見られ、エサは花の蜜です。

モモスズメ

モモスズメは北海道から九州、屋久島まで分布しています。

開帳時は70~90㎜で、出現時期は6~7月。

 

幼虫はモモ、ウメ、サクラ、ビワ、カイドウ、リンゴ、アンズ、ヤマブキなどの葉を食べます。

成虫の前翅にひとつあります。は波形模様と小黒点がひと後翅の前半は紅色をしています。口吻が退化していて、エサを摂取することはできません。

オオシモフリスズメ

オオシモフリスズメは春に1度だけ出現する大型のスズメガです。

インド北部から中国南部を経て日本、台湾に分布し、本州で東海地方以西、四国、九州に生息しています。

 

幼虫はウメ、モモ、ニワウメ、ソメイヨシノなどに寄生するので果樹園や街路樹のあるところで発生します。

幼虫も成虫もつかめると摩擦音を発することで知られています。

昆虫食の分野では幼虫はかなりの美味とされているようです。

(ライター ナオ)