まるで人間が手で尺を測るかのような独特の動きをする尺取り虫。

その愛嬌のある動きに、思わず蛾の幼虫ということを忘れて見入ってしまう人も多いのではないでしょうか。

今回は、そんなシャクトリムシについて詳しくお話しします。

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シャクトリムシとは?

シャクトリムシとは主としてシャクガ科のガ類の幼虫のことを言います。

シャクトリムシの特徴

シャクトリムシのほとんどは毛や針によって体が覆われていません。

芋虫ともいいますが、通常の芋虫とは異なる点がいくつかあります。

まず、芋虫は胸部に3対の足と5対の犬足を持っていますが、シャクトリムシには後方の2対の犬足がありません。

また、体長も細長く、他の芋虫が犬足を使って這って歩くのに対し、シャクトリムシは持っている歩脚で幹に掴まることによって、体を固定し、後端部を歩脚の位置まで引きつけて移動します。

 

シャクガ科の中のエダシャク亜科には木の枝に擬態するシャクトリムシもいます。そのような種類は樹皮に体色を似せて、後ろの犬足で全身を支え、まっすぐに緊張させることによって枝の上からある程度の角度をもって立ち上がり、静止します。その姿はまるで折れた枯れ枝のよう。

シャクトリムシの成虫

シャクトリムシと言われる幼虫とその成虫について、いくつかご紹介します。

マエキオエダシャク

マエキオエダシャクの幼虫は濃褐色で灰白色の筋模様があり、胴の前部が太いのが特徴です。イヌツゲやソヨゴ、アオハダなどの葉を食べます。

成虫の体長は開帳時で21~26㎜、本州、四国、九州、対馬、種子島、屋久島などに分布しています。

出現時期は4~9月で、花の蜜を吸います。

ウメエダシャク

ウメエダシャクの幼虫は黒地に赤褐色の横縞が入っているシャクトリムシです。

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頭部にははっきりとした白い帯が入り、終齢幼虫の体長は30~35㎜程あります。

年に1度だけ、4~4月に発生し、ウメ、モモ、エゴノキ、スカズラ、ニシキギ、ツルウメモドキなどの葉を食べます。

 

日本全土に分布しており、開帳時の体長は45㎜程。

翅の地色は黒く、大きな白紋と白帯が入ります。体は橙色で黒い紋が入っています。

触覚は単純で先が太いです。幼虫態で越冬し、葉間に糸を履いて蛹化します。成虫の蛾は体液がまずい為か、鳥類やコウモリなどの捕食動物には食べられません。

ヨモギエダシャク

ヨモギエダシャクの幼虫は淡緑色から褐色で、体表が滑らかなシャクトリムシです。第2腹節に一対の小さな突起があります。

日本全土に分布していますが、ヨモギだけをたべるわけではなく、非常に多くの葉を食べます。

庭木や果樹の他にも園芸用の花卉などの葉も食べる害虫です。秋に老熟した幼虫は土の中で蛹化して越冬しますが、年に2~3回発生し、成虫は春、夏、秋に見られます。

 

成虫の開帳時の体長は35~50㎜で、大きさや色彩、斑紋にはかなりの個体変異が見られます。

一般的に葉メスが大きく、翅が白っぽいことが多く、前後翅とも灰白色の横脈紋があり、黒環で囲まれていて、黒色の外横線は鋸歯状になっています。

トビモンオオエダシャク

トビモンオオエダシャクの幼虫は褐色~灰色。

頭部に一対の突起を持つ大きなシャクトリムシです。コナラやクヌギ、クリ、ヒサカキ、リンゴ、ナシ等非常に多くの植物の葉を食べます。

 

北海道、本州、四国、九州に分布し、奄美大島や沖縄本島には亜種が存在します。

成虫の開帳時の体長は35㎜程。シャクガの中では体が太い種類に分類されます。

 

オスはメスよりも小さく、触角はオスでは櫛状、メスでは糸状です。

前翅は細長く、全体灰褐色で翅表に葉黒色の2横帯があります。

 

トビモンオオエダシャクの幼虫は食する植物の枝に擬態しますが、実はそれは色だけではなく、化学成分までもその樹木に似せているということがわかっています。つまり、臭覚などで獲物を嗅ぎ当てるアリも、トビモンオオエダシャクの存在に気付かないということ。

視覚的にも、化学的にも擬態しているという凄い奴だったりするのです。

(ライター ナオ)

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