ベニスズメは、日本に生息している蛾には珍しく、紅色をした蛾です。

スズメガ科に分類されるベニスズメ、彼らの生態をスズメガ科の特徴と共に見ていきます。

スズメガ科の幼虫の特徴

幼虫は典型的なイモムシ型で様々な種類の植物の葉を食べます、

元来イモムシという単語はサトイモやサツマイモの葉に多くつくスズメガの幼虫を指した語ですが、現在でも農作物や街路樹などに一般的に見られます。

毒針毛はなく、触っても無害。

 

尾部に尾角と言われる突起があり、これは種類によって形状や色が異なりますが、その用途となるとはっきりは解明されていません。

幼虫の体色は食草によく似た緑色をしたもの、褐色のもの、黒色のもの等がいますが、個体差も激しい種類もいます。

幼虫の中には鳴くものもいて、顎をこすり合わせて発音しています。

 

1齢虫の時はとても小さく、見つけにくいのですが、齢を重ねるにつれ著しく大きくなり、種類によっては11倍まで成長するものもいます。幼虫時代に消費する食草のうちの9割を終齢幼虫の時期に消費するともいわれています。

 

食草はとても多様ですが、種類によって食べる植物は決まっていて、食べる植物にちなんだ名前がついているものもいます。

スズメガの幼虫は成熟すると食草から地上へ降下し、穴を掘って地中に蛹室を作ります。

 

また、地表で落ち葉などを糸で綴った荒い繭を作ってその中で蛹になります。

中には植物上で食草の葉を紡いで蛹を作る種類もいます。

 

多くの場合スズメガは蛹の状態で越冬しますが、一部の種類は前蛹の状態で越冬し、初夏になってようやく蛹になるものもいます。

蛹の期間は種類によって異なりますが、概ね4~5か月ほど。数週間で羽化するものも多くいます。

スズメガ科の成虫の特徴

スズメガの成虫は鋭角を持ち、比較的ほっそりとした三角形の翅を持っています。

これを素早く羽ばたかせて種類によっては時速50㎞以上の高速で移動するものもいます。

 

飛行速度は飛翔昆虫の中でも最も速い部類に入ると言われているほどです。

翅を素早く羽ばたかせて空中に静止することも出来、その状態で樹液や花の蜜を吸収します。

 

一部の幼虫と同じく、成虫も発音するものが多くいます。捕まえると腹部から発音します。

成虫のエサは花の蜜が多く、それぞれが好みの密腺に届くような口吻を持っています。

オシロイバナやカラスウリなどはスズメガ媒花として知られ、スズメガが受粉を行うように特殊化した花を進化させています。

スズメガ科の利用

スズメガ科の幼虫は害虫としても知られますが、欧米では繁殖力の高さから、幼虫が実験用に大量に飼育されています。

日本でも遺伝などの実験に利用されている種類もいるようです。

 

また、非常に高い栄養価を持ち、将来の食料としても注目されているだけでなく、家畜の飼料としても利用が進んでいるのだそうです。

実際に中国ではスズメガの幼虫をいためたり、焼いたり、生で筋肉をすり潰して肉団子として食べられています。

日本のスズメガ

日本で良く知られるスズメガはウチスズメ亜科のモモスズメ、オオシモフリスズメ、スズメガ亜科のエビガラスズメ、メンガタスズメ、クロスズメ、ホウジャク亜科のビロードスズメ、コスズメ、ベニスズメ、ホウジャク、オオスカシバなどです。

ベニスズメの特徴と生態

ベニスズメはイギリス、アイルランド、ヨーロッパ、ロシア、中国、日本、韓国、インド北部に分布し、成虫は5~7月に見られます。

幼虫の頭にはヘビの顔のような眼状紋という模様があり、鳥などの天敵を驚かす効果があます。

 

幼虫の食草はオオマツヨイグサやホウセンカなど。

成虫は夕方に多く見られ、エサは花の蜜などをホバリングしながら、長いストローを出して吸います。

(ライター ナオ)