ワタフキカイガラムシという虫をご存知でしょうか?

園芸に造詣の深い方なら一度は耳にしたことがある昆虫ではないでしょうか。

ちょっと厄介なこの昆虫、その生態や特徴について詳しくお話ししていきます。

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ワタフキカイガラムシの特徴

ワタフキカイガラムシはカイガラムシの一種で、農業上の害虫です。

別名をイセリアカイガラムシともいい、昆虫綱カメムシ目ヨコバイ亜目ワタフキカイガラムシ科に属します。

とても多くの樹木に寄生し、被害を与える害虫です。

 

メスの成虫は樹木の枝に付着して一見その姿を確認することはできません。

しかし、注意して観察すればしっかりと脚や触角が確認出来るほどで、カイガラムシの中ではかなり昆虫らしい虫でもあります。

体の形は楕円形で、赤っぽい前半部と白いロウ物質からなる後半部に分かれ、後半部分はほとんど卵のうです。

ワタフキカイガラムシの生態

ワタフキカイガラムシはメス成虫で長さ5~6㎜、楕円形で扁平な体をしています。

分泌したロウ物質が乗っていて、荒い凸凹があります。

 

周辺から白い毛が伸びて、体節や頭部、付属肢などの昆虫らしい部分は外からは見えず、全て腹面に隠れた状態です。

メスの成虫や幼虫は口針を持っていて、深く挿入して宿主である植物体にくっつきますが、それ以外の部分は密着しているわけではありません。

オスの成虫には翅があります。

 

メスの成虫と交尾して有性生殖しますが、その存在はめったに見かけることはありません。

メスとは全く違った形態をしており、ハエのような外見をしています。

通常メスは単為生殖で卵を産み、年間で3~5世代交代を行っていると考えられていますが、メス自体が雌雄同体だったりもして、よる複雑な生殖が行われていると考えられます。

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ワタフキカイガラムシの害

ワタフキカイガラムシのメスは農家や園芸家にとっては果樹などの植物に被害をもたらす害虫です。

この害には2つの要因があります。

 

一つ目はワタフキカイガラムシが直接樹液を吸って、植物の生長を阻害してしまうということ。

また、死骸がそのまま植物体にのこると、そこが菌やウィルスの温床となり、すす病やこうやく病が発生するということ。

 

ワタフキカイガラムシの表面はロウのような物質で覆われていますから、なかなか農薬などの効果も得られないと言われています。

幼虫のうち見つけて駆除することが基本ですが、万が一見逃してしまった場合、成虫になってしまってからだと退治するのが難しい害虫の一種です。

ワタフキカイガラムシの対処法

ワタフキカイガラムシが枝や葉に集団で寄生しているような場合にはその部分ごと切り落として焼き払ってしまいましょう。

また、幹や単独で寄生しているような場合は、プラスチック製のへらを使うなどして木を傷つけないように注意しながら取り除き、その後、殺します。

多くのカイガラムシが発生してしまった場合に、世界的にも行われている駆除が、天敵による駆除方法です。

 

この天敵を用いた最初の駆除方法はワタフキカイガラムシによるものであり、1888年頃、アメリカ合衆国で行われ、開発した昆虫学者の名前をとって「ケーベレ法」と呼ばれたこともありました。

 

アメリカで大々的な成功を収めてから、天敵を導入した害虫の駆除方法は世界中に広まりを見せました。

日本でも1908年、ワタフキカイガラムシが見つかり、1912年ワタフキカイガラムシの天敵であるベダリアテントウを導入。

 

駆除は見事に成功し、その後ワタフキカイガラムシの数は減じたままです。

ベダリアテントウ自体を見かけることは少ないですが、しっかりと抑制されているのは人間の見えないところでベダリアテントウが活躍してくれているからに違いありません。

(ライター ナオ)

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