ヒョウアザラシはヒョウ柄をしている!
ヒョウアザラシは、南極大陸近辺に生息している、食肉目(ネコ目)アザラシ科ヒョウアザラシ属に分類される海獣です。
ヒョウアザラシ属は、単一種です。
ヒョウアザラシの体色は背中が暗褐色から灰色で、腹は明るい色をしています。
腹から体側にかけて白や黒の斑点が入ります。
これがヒョウの模様(ヒョウ柄)に似ていることから『ヒョウアザラシ』と名付けられたのです。
ヒョウアザラシの顔つきは、コワモテ!
ヒョウアザラシの体型は細長く、頭部が大きく首は長めです。
精悍な面構えをしており、口先(吻端)はとんがっています。
また、口は大きく裂けており、その開口角度も大きいのでよく開きます。
ヒョウアザラシはアゴの力が強く、鋭い歯が並んでいます。
これで獲物にかみついて、大きく振り回しながらその肉を食いちぎってしまうのです。
ヒョウアザラシは猛スピードで泳ぐ!
ヒョウアザラシのオスの体長は3メートルにもなりますが、メスは更に一回り大きくなります。
体重もオスは300キロほどですが、メスは500キロにもなります。
ヒョウアザラシの前肢はよく発達しているので、その遊泳速度は速く、時速40キロに達すると言われています。
氷山の脇を猛スピードで泳ぎ回り、獲物を狙うので、水中ではヒョウというよりチーターに近いかもしれません。
ヒョウアザラシは名ハンターだが、オキアミが好きだった!
ヒョウアザラシは、南極大陸沿岸の海洋、流氷上や孤島などで生活しています。
通常は群れを作らずに単独で生活をしています。
ヒョウアザラシの食性は動物食で、おもに体長5~6センチほどのナンキョクオキアミを食べていますが、イカや魚類、ペンギンなどの鳥類、それに同じアザラシ類のカニクイアザラシやオットセイなどの小型の海獣やその幼獣なども襲って捕食します。
ヒョウアザラシがオキアミを食べる際には、海水ごとその大きな口腔に吸い込み、臼歯部で濾し取って食べ、海水を吐き出します。
ヒョウアザラシは年に一頭出産する!
ヒョウアザラシの繁殖形態は他のアザラシ同様胎生で、妊娠期間は人間とほぼ同じ270~280日前後です。
一年に一度、11月(南半球では初夏)頃に、一頭の幼獣を産みます。
ヒョウアザラシの幼獣は出生直後でも体長1メートル以上、体重は30キロ以上になりますから、ヒトでいえば小学生並みの大きさといえます。
授乳期間は4週間ほどで、あとは母親から固形物を与えられます。
メスで4年、オスだと4年半ほどで性成熟をします。
ヒョウアザラシの寿命は25年以上と推定されています。
凶暴なヒョウアザラシは、人間を襲うこともある!
ヒョウアザラシは、強力なアゴと鋭い歯を持ち、大型で攻撃的です。
他のアザラシを襲って捕食することもしばしばあります。
ヒョウアザラシがアザラシ類やペンギンを襲う際には、岩場近くに身をひそめて擬態をし、一気に襲いかかります。この点はヒョウにそっくりです。
また、捕食目的ではありませんが、人間も襲われて殺されてしまうことがあります。
ヒョウアザラシに天敵はいない!
ヒョウアザラシに、はっきりとした天敵がいることは確認されていません。
ヒョウアザラシが住む海域には、シャチやサメなどの大型の捕食者がいますが、これらが特に好んでヒョウアザラシを捕食することはありません。
ヒョウアザラシの天敵のまとめ
ヒョウアザラシの生活圏には、もっと大型のミナミゾウアザラシがいますが、ナワバリ争い等で戦闘になることはあっても、捕食し合う関係ではありません。
またアザラシを好んで捕食するホッキョクグマも、南極には存在しませんので、ヒョウアザラシはこの地域の頂点捕食者(食物連鎖の頂点)と考えられています。
(ライター オニヤンマ)