アリといえば、コロニーをつくることで知られている昆虫。

その中での女王アリの存在と、その役割について詳しく知っていますか?

今回は女王アリにスポットを当てて、その役割と生態について詳しくお話ししていきます。

女王アリの生態

多くのアリの種類の中には、女王アリが存在しないものや、巣を作らないもの、女王アリが複数存在するものなど様々。

しかし、ほとんどのアリは、大きく一匹の女王アリと、メスの働きアリ、オスアリの3種類に分かれています。

更に細かく分類すると、働きアリの中でも兵隊アリと働きアリ、そして次の女王候補の処女女王アリに分かれます。

春から秋にかけての蒸し暑い日、成熟した巣から羽をもつ処女女王アリとオスアリが多数飛び立ちます。

 

これは結婚飛行と言われ、空中で交尾をするための行動です。オスアリは体からフェロモンを出し、メスを誘います。

空中で交尾したオスアリは、交尾後力尽きて死に美亜菅、処女女王アリは貯精嚢に交尾したオスから得た一生分の生死を貯蔵し、地上に降り立った後に自ら羽を落として巣穴を掘るか、木の皮の隙間などに沈むなどして女王アリとしての最初の産卵行動に入ります。

 

女王アリは蓄えたオスの精子を自由自在に操ることによって、オスとメスを産み分けることが出来ます。

未受精卵はオスが生まれ、受精卵からはメスが生まれます。

 

これは、ハチと同様ですが、アミメアリのように女王アリが存在しない種類では交尾をしない働きアリからもメスが生まれることがあるそうです。

たったの一匹で巣を作り、産卵する女王アリは初め受精卵を産み、メスを増やします。

巣は時に再利用されることもあるのだそう。

 

巣の中では女王アリが飲まず食わずで自分の唾液やフェロモンなどを与え、最初の働きアリであるメスのアリを育てます。

この時フェロモンの量や種類などによって、メスのアリは処女女王アリになるか。働きアリになるかが決まります。

メスの働きアリが増え、後半は繁殖のためのオスのありを産卵します。

 

働きアリは多くが老齢のメスで、若いオスとメスのアリは巣の中でエサの運搬や卵や幼虫の世話などをする兵隊アリです。

オスのアリは繁殖の時期までは何もせずにいます。

 

女王アリの寿命は長いもので21年と言われ、一度コロニーの女王となったアリはその巣にとどまり、処女女王アリたちは新たな巣を作るために飛び立ち、結婚飛行をしながら交尾をします。

女王アリの飼育

最近、日本ではアリにはまる人が増えているそうで、巣を作る過程など飼育しながら楽しんでいるのだそうです。

女王アリも販売されているほどで、確かに一年を通して彼らを観察することは色々な発見があることでしょう。

 

通常のプラスチックの虫かごよりも細くて、アリの巣の形状が見やすくなっているものをフォーミカリアムやアントファームとよび、アリの巣観察用の専用の飼育ケースがあります。

 

女王アリを自分で捕まえようと思ったら、自然界で巣穴を見つけることから始まります。

種類によってやコロニーによって、結婚飛行の行われる時期は違いますから、その結婚飛行を見極めることが最大のポイントです。

結婚飛行を終えた新しい女王アリは、翅を落とし、地上で新しい巣作りを始めます。

この時がチャンス。

 

新女王の胸部脇には翅を落とした跡が残りますから、その跡を手掛かりに探すことになります。

結婚飛行を終えたその日でなければ、巣を作り、地中に潜っていってしまいますので、チャンスは1日しかないといってもいいかもしれません。

女王アリの生態や巣を作る過程に興味のある方は、ぜひチャレンジしてみて下さい。

日本人はよく、働きアリに例えられます。ちょっと親近感を持ちながらアリたちの巣作りの様子を観察できるかもしれませんね。

(ライター ナオ)