タガメとゲンゴロウは、共に水の中に棲む大きい昆虫です。

どちらも生息数が少なく現代では希少な生物でもあります。

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どこがどのように違うのでしょうか。

タガメについて

タガメの生息地は北海道以外の日本全国です。

しかし、タガメは今にも絶滅しそうな昆虫です。

 

地域によってはもういない事になっている場合もあります。

環境省のレッドリストにも入っています。田亀(タガメ)という漢字が当てられるように、もともと水田や水の綺麗な池のような場所に生息する夜行性の水棲昆虫であり、農薬などの有機的な汚染には弱い生物です。

 

タガメが日本のあちこちで見られたのは戦前くらいまでともいわれます。

東アジアなどにはいるようですが、日本に生息するタガメは大きい事が特徴です。

 

オスの成虫で約5cm程です。

メスはそれより大きく6cm程になる事もあるようです。

 

大きさでも判別はできますが、メスは卵を産むために、お腹の部分が少し凹んでいます。

産卵時期にはこの部位が膨らみを持ちます。

 

タガメの体色はこげ茶っぽく、前脚についた爪のような部位が目立ちます。

脚には細かい毛のようなものもあります。

カメムシ目の中でも一番大きい昆虫です。

 

タガメの成虫は複眼をもち、餌が近づくと音をたてずにスーッと寄っていくような行動を見せます。

視力その他の感覚器の発達は案外いいのかもしれません。

タガメの一年

タガメの一年は次の通りです。

春先から初夏にかけて卵から孵化し、5回程度の脱皮を繰り返し50日程で幼虫から成虫になります。

 

秋になるともぞもぞと越冬の準備を始めます。

タガメは成虫の姿で越冬する昆虫です。

 

翌春の水ぬるむ頃になると越冬から目覚め、5月から8月は繁殖期を迎えます。

タガメのメスは水中から10cmほど突き出た木の棒のような部分に20~30程の卵を産みます。

 

タガメのオスは餌もろくに食べずじっと卵塊を守り、約10日で孵化します。

タガメの孵化の様子は意外に綺麗です。

卵から魚の幼虫のようなものが頭を出してきます。

 

それから徐々に脚などの体の器官が出てきます。

その後、タガメの幼虫たちはポロポロと水中にこぼれていきます。

一斉に孵化する場面は、半透明の花が咲いたように綺麗です。

 

しかし、タガメのオスもやはりお腹が空いていると一応自分の子であるこの一番小さいタガメの赤ちゃんを捕食する事もあります。

野生は厳しいものです。タガメの寿命は長くて1、2年といわれています。

 

産卵時期のタガメのメスは疲労がたまり常に空腹な為、食べまくります。

稀に卵を守っている別のオスを見かけると、タガメのメスが卵塊を蹴散らしてしまう、という行動もあるようです。

タガメはカメムシの一種ですから、交尾期には臭腺という部位から臭いを発するオスもいるようです。

タガメの体外消化について

タガメの特徴として、とにかくよく食べる事があります。

獲物をじっと水中で待ち、前脚で捕まえて口のあたりにあるストロー状のものの中にある針のようなものを獲物にズブリと突き刺し消化液を注入し、ドロドロにしてから捕食する体外消化を行います。

 

餌になるのは昆虫、小型爬虫類、魚類などです。

タガメのこのストロー状の部位は、長く生きたタガメの場合、破損が見られ直に針が見えている事もあるらしいです。

 

体外消化というのは文字通り、体の外で食べ物を消化してしまうようなもので、一般的に体内に食物を摂り入れてから消化器官で消化するのと順番が違う食事の仕方です。

タガメのカマのような部位に咬まれると痛く何らかの液体を注入される危険もあるので、気をつけましょう。

 

成虫になるのも割と早いですが幼虫時から肉食です。

基本的には生きているものを食べます。

 

タガメは蛹の時期がない不完全変態です。

幼虫時代も成虫と姿がそこまで変わりません。

タガメの呼吸について

タガメはほぼ一生を水中で過ごし、お尻の部分にある呼吸管で忍者のように呼吸します。

この呼吸管は非常にデリケートな部位であり、ここに欠損が生じるとタガメは死亡します。

 

この管は2本構造になっており、その真ん中の部分が酸素の通り道になっています。

呼吸管のまわりには細かい毛があります。

タガメはだいたい水中にいますが、稀に陸にあがり体を乾かしているように見える行動も見られるようです。

ゲンゴロウの生態

お爺さんの名前のようなゲンゴロウは、日本全国に生息する水棲昆虫です。

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タガメよりは水質の有機的な汚染に強いようでもあります。

 

ブラックバスをはじめとした外来種の移入による生態系の乱れが、ゲンゴロウの生息数の減少の原因のひとつではないかと考えられています。

ゲンゴロウの成虫が見られるのは4月から10月くらいまでです。

 

カエルや魚などを食べる肉食ですが、死んだものも食べます。

ゲンゴロウは成虫になると約4cm程になります。

 

体つきはやや丸みを帯びており、黒いような濃い緑色の様な色合いです。

オスの方が光沢感があり、メスはややざらついています。

後ろ脚を伸ばしながらすいすい泳ぎます。

 

ゲンゴロウは多くの場合、オサムシ亜科のゲンゴロウ類とまとめていわれています。

ゲンゴロウの仲間は130種くらいいるともいわれており、日本でゲンゴロウ類といえば、ナミゲンゴロウといわれる種をさす事が多いようです。

ゲンゴロウも夜行性です。

 

ゲンゴロウをひっくり返して顔の部分を裏側から見るとわかるようですが、オスの成虫は前脚の部分に吸盤のようなものを持ち、メスにはありません。

 

交尾の際にほぼ合体ともいえる姿を見せるのも特徴です。

このようなゲンゴロウの交尾スタイルは野生の昆虫として無防備な気がします。

 

交尾行動自体はさっさと済ませるようですが、全体として合体状態になっている時間が長めであるようなのも腑に落ちない点です。

単にゲンゴロウのオスについている吸盤の吸着力が思いのほか強く、すぐに離れにくい困難な状態に陥っているだけかもしれません。

 

ゲンゴロウの体には気門という部位があり、その部分に空気をため込む事で呼吸をしています。

寿命は2、3年といわれています。

 

飼育がうまくいった場合、もっと生きる事もあります。

はっきりした冬眠は行わないようでもあります。

ゲンゴロウの成長過程

ゲンゴロウは幼虫の時から体外消化を行います。

ゲンゴロウの幼虫は、最大7、8cmにもなる透き通った毛虫のような姿をしています。

 

顎が発達しており、管のようなものを持ち毒と消化液を獲物に注入します。

もっぱら生きた獲物を食べる為の構造です。

ゲンゴロウの幼虫には素手で触らないようにしましょう。

 

ゲンゴロウの幼虫は多くの場合、共食いをします。

幼虫の間はオタマジャクシなどをもりもり食べ、3回脱皮をして蛹になる準備を始めます。

 

土に潜り込み、8日から2週間程で蛹になります。

その後2週間ほどで羽化し成虫になります。

 

蛹になる為にその時期は陸に上がり部屋を作ります。

この辺りもタガメとの違いといえます。

 

また、タガメの成虫は口の部分から臭い液体を出します。

身を守る為の行動だと考えられています。

タガメとゲンゴロウの違い

  • タガメは蛹になりませんがゲンゴロウは蛹になります。
  • ゲンゴロウの幼虫は餌が不足しなくても共食いをするようです。タガメには共食い行動はあまりみられません。
  • タガメの幼虫・成虫ともに生きたものを捕食しますが、ゲンゴロウの幼虫は生きたものを食べ、成虫になると死んだものも食べます。
  • 成虫の大きさは、タガメの方がやや大きいようです(5,6cm程)。
  • ゲンゴロウの成虫は陸にあがるとどうも臭いようです。
  • タガメの成虫は種類や嗅ぐ人によってフルーティーな匂いがするようです。
  • 成虫のタガメは平たい体つきですが、ゲンゴロウも平たいながらもやや丸みを帯びつるりとしています。
  • ゲンゴロウは泳ぎが得意ですが、タガメはそこまで泳げないようです。
  • タガメは交尾時期に多少とぶこともありますが、ゲンゴロウはとびません。
  • タガメの顔はあまり可愛げがありませんが、ゲンゴロウはユーモラスな顔立ちでドジョウのような口元です。
  • タガメは食用とされる種類もいますが、ゲンゴロウに関してはちょっと食用とはいえないようです。

順不同になってしまいましたが、タガメ、ゲンゴロウ共にはっきりしない部分も多く違いや似通った部分はもっと多そうです。

ゲンゴロウは甲虫であり、タガメはカメムシの仲間であることが相違点の元になるともいえそうです。

タガメとゲンゴロウ

タガメもゲンゴロウも、見た事がない人が多そうです。

タガメの名前は「田んぼにいるカメムシ」というものが有力なようです。

 

ゲンゴロウの名前については、民話や伝承などによっていくつかあり不明です。

「源五郎」といういかにも人の様な名前は、モデルとなった人物がいたに違いありません。

個人的にタガメに非常に関心を持ったのですが、飼育は難しく生き餌の確保、水質の管理など、やはり飼育していても死んでしまうものもいるようです。

(ライター:おもち)

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