ピラカンサは、秋冬になるとみっしりついた赤い実と丸みがあるような長細い葉が特徴の常緑樹です。

そのピラカンサと盆栽についての話です。

ピラカンサについて

バラ科のトキワサンザシ属のピラカンサは、5月頃にリンゴの花に似た小さな白い花をつけ、秋から翌年の1月頃まで赤い実をつけます。

庭木や生垣になり、公園に植えられている事も多くあります。

園芸用とされているピラカンサは主に3種で、欧州原産のトキワサンザシ、インド原産のヒマラヤトキワサンザシ、中国原産のタチバナモドキのようです。

多くはトキワサンザシのようですが、それぞれ特徴があるので好きな種を選んでも良さそうですね。

 

橘擬(タチバナモドキ)というのは、常緑樹であるミカン科の橘の樹に似る事、常盤山査子(トキワサンザシ)も、赤い実をつける事が同じバラ科の山査子の樹に似るとの事からついている別名のようです。

漢語の火棘(カキョク)というのは、ピラカンサの小さい枝が棘のようになる事からつけられたようです。

 

樹高がとりわけ高くなるのはトキワサンザシです。

6mほどに成長する為、剪定が必要です。タチバナモドキは実がオレンジ色なのが特徴です。

 

樹高は4~5m程になります。

ヒマラヤトキワサンザシは、びっしりと赤い実をつける様子から別名花山手毬(カザンデマリ)ともいわれます。

ピラカンサはリンゴ亜科でもあり、樹の姿はリンゴの樹によく似ています。枝の付け方や花は特にそっくりです

。ピラカンサの実は特に食用になるものではありませんが、同じバラ科のハマナスの実は食べられるものは食べられます。

 

バラ科の植物または樹木は、実の付け方などに特徴があります。

ピラカンサが鑑賞対象となっているのも、無彩色の秋冬の長い期間に赤い実をつける事からのようです。

ピラカンサを盆栽にする

盆栽向きのピラカンサは、トキワサンザシとタチバナモドキです。

「盆」に「栽」ですから、とにかくまめな剪定が欠かせません。

 

盆栽には「盆景」という漢語表記があります。

凄いですね、盆に好きな景色を載せてしまうのです。

実際は盆ではなく鉢ですね。

 

挿し木で始める場合、ピラカンサの枝を盆栽にしたい鉢に挿し根がつくのを待ちます。

時期は春先頃が適当のようです。

 

ピラカンサは日当たりが良い場所を好みます。

水やりはたっぷりとします。

 

花の開花時期には花に水をかけないように注意します。

植え替えは毎年新しい土を用います。

 

件の剪定時期は実が終わった頃の2~3月、6月~7月、花が終わる9月~10月頃です。

花の時期などを除くとほぼ通年です。

盆栽の場合、剪定の目的が通常の樹木と違います。

 

盆栽のピラカンサはあまりに大きくしてはいけないし、しかも枯らせてはいけないのです。

つまり、樹を育てないのです。

 

大きな盆栽に植え替えたい場合は別として、盆栽における剪定の目的は樹木の幹を太くし過ぎない事です。

奇妙ですが、なにしろ「盆」に「栽」なのです。

この矛盾こそが盆栽の特徴であり魅力ともなっています。

 

盆栽には常緑のものが丈夫で向いているようです。

ピラカンサは超初心者にも向いていると思われます。

既に盆栽となっているものを買い求めても良いでしょうね。

 

また、盆栽では「ムロ」という専門用語がしきりに登場します。

盆栽の専門用語だと思うととてつもなく凄い何かを想像してしまいますが、これは盆栽を冬の寒さから守る為のものだそうです。

 

孔をあけて通気性を良くした発泡スチロールの箱などに入れて、越冬するという事のようです。

ピラカンサスは常緑樹ですが、北国の場合はムロを用意しても良いかも知れませんね。

何といっても、盆栽になったピラカンサには相応の負担がかかっています。

盆栽について

盆栽というと埼玉の大宮は欠かせません。

昔は異様に多く盆栽などがあるところ、という感じでしたが、盆栽=大宮となり、さいたま市大宮盆栽美術館にグレードアップしています。

 

今や盆栽はBONSAIであり、全国各地から盆栽職人たちが集うという世界盆栽大会まで開催されています。

本来大きな樹であるピラカンサスですが、盆栽にできれば庭などがなくても気分だけ盛り上げる事ができます。

 

盆栽の発祥は中国との事ですが、日本で盆栽が定着したのもわかるような気がします。

ピラカンサは満開時の花も見事ですね。

(ライター:おもち)