一見すると植物とは思えない不思議な穂を持つ「ガマ」。

子供の頃、「フランクフルトが生えてる!」と大騒ぎした人も多いのではないでしょうか。

 

あれ、ほんとにフランクフルトにしか見えませんよね…。

子供の当時は名前を知らなかったので、友達の間で「フランクフルト草」と呼んでいました。

 

そんな不思議な植物ガマ。

今回はガマの生態や、フランクフルトのような穂の構造の秘密に迫っていきたいと思います。

ガマの生態

ガマは池や沼などの水辺に生える抽水植物で、北半球の温暖な地域やオーストラリアなどに分布。

日本では、北海道から九州にかけての広範囲で見ることができます。

水辺の植物なので、子供には微妙に手が届かないところに生えていることが多いんですよね…。

ガマの穂がとりたくて、家から高枝切りばさみを持ち出したりしたのを思い出します。

 

草丈は1m~2m。

太い地下茎を泥中に伸ばして広がり、群生します。

茎はすだれにも利用されており、別名である「ミスタサ」は、「御簾草」が由来。

 

このように、ガマには様々な利用法があり、昔から日本の人々の生活に深く関わってきたのです。

花粉には利尿作用や通経作用があるとされ生薬として使われており、止血や擦り傷に効果があるとも言われていました。

 

また、ガマの穂から採れる綿は火付けに使われたり、穂自体を乾燥させて火をつけ、蚊取り線香の代用品として使われることもあったのです。

さらに、茎や葉は樽づくりやゴザに使われており、ガマの万能さに驚きますね。

ガマの穂ってどうなってるの?

フランクフルトのような不思議なガマの穂。

じつはこれ、雌花の集まりなんです。

 

どう見ても、花には見えませんが…構造的にはれっきとした花なのです。

ちなみに雄花は、フランクフルトの先の方についている存在感の薄い部分。

 

開花(と言えるかどうかはわかりませんが)時期は6月から8月。

フランクフルトが出現してしばらくすると、モコモコとした綿に包まれたようになっているのを見たことがありませんか?

 

雌花は結実すると、綿毛の付いた小さな実になるのです。

この実が風でフワフワと飛ばされ、水面に落ちるとすぐに実から種子を放出し、水底で発芽。

 

時に風だけでなく、強い衝撃でも種が飛び散ることがあります。

なので、まだ綿の出ていないガマの穂を力強く握ると…破裂したようにブワワワワ!っと綿が噴出してきますよ!

 

一つの穂に35万個もの種があると言われているので、勢いよく吹き出してくるのも納得。

本当に気持ちいいくらい勢いよく吹き出すので、ちょっとしたストレス発散にもなります。

「ガマの穂」は「かまぼこ」の語源である

ここでちょっとした豆知識を…。

練り製品の大定番である「かまぼこ」ですが、じつはこれ「ガマの穂」が語源となっているのを知っていましたか?

 

漢字では「蒲鉾」と書きますが、しっかりと「蒲(ガマ)」の字が入っていますよね!

しかし、なぜガマの穂が由来なのでしょう?

 

じつは、かつては現在で言う「ちくわ」のことをかまぼこと呼んでいたのです。

そう考えると、ちくわに棒が刺さっている姿はガマの穂にそっくりですよね。

そこから同じ練り製品で板付きのもののことも、かまぼこと呼ぶようになったのです。

 

そして両者を区別するために、棒つきのものは「竹輪かまぼこ」と呼ぶようになり、次第に単に「ちくわ」と呼ばれるようになったと言われています。

全く関係のないガマと練り製品に、じつはこんな名前の関わりがあったんですね。

ガマについてのまとめ

知れば知るほど面白いガマの生態。

かつてはとても身近な植物でしたが、近年では都市化が進み姿を見かけることが減ってきてしまいました。

 

しかしじつはガマは自分で育てることもできるんです。

育て方も比較的簡単で、上手くいけば一度植えただけで毎年楽しむことができますよ。

もし興味がある人は、栽培にチャレンジしてみてください。

(ライター もんぷち)