気品ある紫色が目をひくアザミの花。

ふとした散歩道などで目を止めたことがある人も多いのではないでしょうか。

今回はそんなアザミの花に関するお話です。

アザミの生態

アザミはキク科アザミ属に分類される植物で、葉は深く切れ込みが入り、葉をはじめ、全体的に棘が多く、触るととても痛みを感じます。

世界には300種類以上のアザミがあり、主に北半球に広く分布しています。

その分布は北アメリカに約90種、ヨーロッパに60種、中国に50種、日本にも60種類ほどが存在しています。

 

日本に分布するアザミは4種類を除いて日本特産のもので、鳥海山だけに咲くチョウカイアザミや白馬岳にだけ咲くダイニチアザミなど極狭く分布しているものも多いのが特徴です。

 

地域変異がとても多く、現在でも新種が見つかっていますが識別は難しく、花の大きさやつき方、総苞の付き方や形、根本ある葉の有無などを確認することが必要になります。

アザミの種類と花

アザミの花は雄しべとめしべが棒のように突き出していて、針山のような形をしています。

赤紫や紫色をしていて、草原や乾燥地帯、海岸などで一輪だけ咲いていることも多く、特にノアザミは春から秋にかけての長い時期咲くので、周りの花々が散った後などは、人の目に止まりやすい花でもあります。

 

ノアザミの花は直径は3㎝ほどで、茎の先端に上向きに1~3輪つきます。

花の根元にあるそれまで蕾を包んでいた葉は粘り気がありますが、開花したときにはすでに枯れているので、紫の花だけがぽつんと茎の先端についているように見えます。

 

また、フジアザミは日本でも大きな花を咲かせるアザミの種類で、夏の終わりから秋にかけて咲きます。

直径60㎝にも及ぶ花が、垂れ下がった形で咲きます。

 

本州、四国、九州の山地にある明るい湿地や水辺にはキセルアザミという種類が自生します。

草丈は50~100㎝にもなり、秋に3㎝ほどの花を茎の先端に1~2輪咲かせます。

 

花はそれほど大きくありませんが、下向きや横向きについていて、棘が小さく、開花しても根元の根出葉が残っているのが特徴です。

タムラソウは本州から九州、朝鮮半島の低地からやや高い山まで広く見られ、明るい草原に生える種類です。

 

アザミに似ていますが棘がなく、葉も羽状に裂けているのが特徴で、草丈は50~120㎝ほどになり、花は夏の終わりから秋にかけて咲きます。

直径3㎝ほどの花が枝分かれする茎の先端につきます。

 

ヒゴダイは日本では愛知県以西の丘や山地の草原に生えます。

現在の日本では稀で、各地で保護活動が行われている種類でもあります。

 

草丈は1~2mで、夏の終わりごろに瑠璃色の花を茎の先端に咲かせます。

花は球形をしており、径は5㎝ほどです。

 

オヤマボクチは北海道南西部や本州、四国にかけて分布します。

山地の日当たりの良いやや乾いた草原に生え、草丈は100~150㎝にもなります。

 

秋に茎の先端に直径4㎝前後の花をつけ、葉はゴボウの葉に似ていて白い毛が生えています。

葉の裏は白く、若葉を山菜として持ちにいれたり、そばのつなぎにする地方もあるようです。

 

ハバヤマボクチは福島県以南の本州と四国、九州に分布する、山地の日当たりのよいやや乾いた草原に生える種類です。草丈は1~2mほどにもなり、赤いに茎の先端に直径4㎝ほどの大き目の花をつけます。

 

葉は三角形に近く、縁には浅い切れ込みが入ります。

アザミ属の花は花粉と蜜によって虫を誘い、虫媒介で受粉が行われます。

 

めしべとおしべを持つものと、それぞれが別の株に分かれているものがあります。

根で冬越しする他に、綿毛のついた種子が風で拡散して増えます。

アザミの名前の由来

アザミは古い言葉でちくちく痛むことを「あざむ」と言っていたことからきています。

アザミの棘が触るとちくちくとすることから名づけられたと言われています。