サンゴは漢字では『珊瑚』と書き、刺胞動物門に属する動物です。

ただし自分自身では動くことはできません。褐虫藻と呼ばれる藻類を体内に共生させ、その光合成による生成物をエネルギー源として生きています。

そのサンゴを古くからヒトは採取して、宝石として装飾品などに使ってきました。

サンゴ礁はサンゴの群れだった!

サンゴはその固い骨格を発達させて大集団としてのサンゴ礁を形成します。

サンゴ礁は、海洋生物にとって重要な生息地となっている他、二酸化炭素を吸収し酸素を放出して海水の環境保全も担っているのです。

サンゴの白化とは?

サンゴの生息している海は、生態系が整い、豊かで美しい場所です。

暖かな海が主な生息地ですが、温暖化により海水温が上昇しすぎると白化が起こりやすくなります。

サンゴの白化とは、サンゴを取り巻く環境が悪化することにより、そのストレスから共生する褐虫藻の光合成が機能しなくなり、サンゴから褐虫藻がいなくなることによって起こります。

これによりサンゴの骨格が透けてくることで白く見えるので、白化と呼ばれます。

サンゴの白化は海の砂漠化だ!

サンゴの白化は、陸上の強乾燥になぞられ、『海の砂漠化』と呼ばれることもあります。

白化したサンゴは移動することも、繁殖することもできず、崩壊していくのみです。

白化の原因はサンゴのストレスだった!

白化の原因の第一は環境汚染によるサンゴ自身のストレスによるものです。

これにより褐虫藻がサンゴから放出されてしまうのです。

この他、サンゴが白化する原因として、海水温の上昇ばかりでなく、水質の汚染や塩分濃度の変化、特に海水の酸性化が挙げられます。

サンゴ礁が白化すると、海洋環境も変わる!

サンゴの白化はサンゴやサンゴ礁だけの問題でなく、その周囲の海洋環境にも大きな影響を与えます。

サンゴの褐虫藻は、海水中の二酸化炭素を吸収し、酸素を放出するので、サンゴが白化した地域では海水中の酸素濃度が減少してしまいます。

海水温の上昇は太陽光を遮断する!

海水が温暖化するとプランクトンが異常発生します。そうすると周辺海域の海中に十分な太陽光が届かなくなってしまいます。

これによりサンゴの体内にいる褐虫藻は光合成ができなくなってしまいます。

 

このときサンゴは褐虫藻を放出しますが、これはどちらかというと褐虫藻がサンゴから逃げ出すというイメージです。

褐虫藻がいなくなったサンゴはむき出しの裸の状態になり、栄養供給がなされず、死滅してしまいます。

実はサンゴの生態はあまりわかっていない!

実はサンゴの生態はあまりわかっていません。

サンゴ自身も生物ですから、環境の変化に適応できる可能性がありますので、今後の調査、研究の進展が期待されてもいます。

沖縄では、高水温による白化現象からサンゴの減少が指摘されていますが、九州沿岸ではサンゴの分布が北上を始めていることも確認されています。

海水温の上昇よりも酸性化の方が影響は大きい!

1980年代以降、大規模なサンゴの白化現象の報告が増加しています。

今後の地球温暖化と海水温の上昇をシュミレーションしていくと、現在あるサンゴ礁の白化の頻度はますます高くなるであろうと予想されています。

 

また同様に蓄積した二酸化炭素により海水の酸性化も進んでいくものと予想されています。

実際には、海水温の上昇よりも酸性化の方がサンゴに対する影響は大きいと考えられているのです。

沖縄では、わずかながら回復傾向が見られる!

1998年の大規模白化後に、沖縄ではサンゴの追跡調査が行われています。

この調査によれば、陸から離れたサンゴ礁では、わずかながら回復傾向がみられています。

沿岸ではまだまだの状態ですので、今後の環境保全が非常に重要になってきます。

サンゴを守るためにすべきこと

サンゴを守るためには、海洋環境の保全、土砂の流失対策、サンゴの増殖と移植などによる再生などが挙げられます。

これは沖縄や日本だけの問題でなく、世界各国の協力がなければ意味がありません。

 

海はつながっています。

海を汚さないことを世界中で考えていかなければならないのです。

(ライター オニヤンマ)